‘91年式 ローバーミニ
サーキット走行にのめり込むオーナーが入手したミニは、本気の“スイフチューン”搭載車!
ミニを楽しむことのひとつにサーキット走行があるが、ここで紹介するオーナーもサーキットで熱い走りをするミニに魅せられたひとりだ。国産車とは違うミニが持つレトロな雰囲気にもハマって、いまではすっかり愛車の虜となっているという。そんなルックスだけではない彼のミニの魅力をたっぷり紹介していきたい。
ミニの魅力は、その愛らしいルックスや路面をダイレクトに感じるドライビングの楽しさなど様々であるが、歴史的にも数々の偉業を打ち立ててきたサーキットでの力強い走りに魅了されたオーナーも多いことだろう。ここで紹介するミグリア風のレース仕様に仕上げられた’91年式ローバーミニに乗るオーナーの藤井さんもそんなひとり。影響を受けたそのキッカケは、仕事の主要取引先である社長が駆る同年代のローバーミニをサーキットで見たことだった。
「走行会に参加するのでよかったら遊びに来ないか、とチケットをいただき、ミニジャックを見にいったのが最初でした。そのときに、たくさんのミニの間を縫うように走り抜けていくその姿を見てすごい! と。ボクもサーキットで走りたいなと思ったんです」。
その後、まず藤井さんが手に入れたのは、なんとミニのなかでも異端児として知られるERAターボだった。デビュー当時でも賛否が分かれていたモデルだったが、購入後にショップからも「仮にサーキットで走って故障した場合、ほとんど部品が出てこないモデルのために無理な走行はオススメしない」といわれてしまう。そんな事情からもサーキット走行はせずに手放した後、今度は日本の旧車・マツダサバンナRX-3手に入れてサーキット走行へ。だが、やはりミニに受けた衝撃は忘れられず、現在のローバーミニにたどり着いたそうだ。
そんな現在の彼の愛車に目をやると、まず飛び込んでくるのは、スイフチューンエンジンにドグミッションが組み込まれた仕様。まさにサーキットでの走りを意識した本気仕様だ。 前々オーナーが筑波サーキットでタイムを出すために製作したものだというが、現在もそれを藤井さんが受け継いでいるのだ。
「まだまだサーキット走行には慣れていないのでこれからですね。このクルマのポテンシャルを引き出せていないので、今後どんどん走り込んでいこうと思います」と楽しげだ。
また、ドグミッションというと独特なつなぎのフィーリングは、一般的な走行には不向きとされている。しかし藤井さんはそんなことは意に介さず、愛車を普段使いしているという。
「ショップさんにも、こんな仕様のミニを通勤で使うバカなんていないよ、と呆れられていますが(笑)、クセさえ掴んじゃえば全然問題ないですよ。だから普通に通勤のアシとしても乗っています」。ミニ乗りとしての逞しさすら感じさせるが、サーキット走行にのめり込むオーナーならではの悩みもあるのだとか。
「外装のカスタムなどいろいろ構想はあるのですが、サーキットで走っていると、走る度に直して調整してを繰り返していて、なかなかの出費なんです。だから外装まで手が回らないのが辛いところですね」。
実際、今回のサーキットでの撮影時にもエンジンが6000回転から上が回らなくなり、その後ポイント点火部分が不調なことが発覚。電子制御のパーツに交換したばかりだという。そんなトライ&エラーは、サーキットを走るオーナーの宿命ともいえそうだが、それでもミニはやはり魅力たっぷりなクルマであると語ってくれた藤井さん。どうやら、この愛車とは長い付き合いになりそうだ。
これからどんどん走り込んで、このミニのポテンシャルを引き出したい
右/車内もサーキット走行を目的としたシンプルなものへと変更。シートはバケットを選択。ステアリングはスパルコのブルーのスエードタイプで、車体カラーともマッチしている。左/エンジンはかの英国トップチューナー、スイフチューンの1380ccに載せ替えられている。ドグミッションと組み合わせたその仕様は、まさにサーキット走行好きの藤井さん好みだ。
右/フロントグリルはMkⅠのさざ波仕様へと変更されている。マットなブルーカラーの車体にレッドカラーの牽引フックが映える。左/ホイールはSSR MK-Ⅱの10インチをチョイス。センター部分をレッドカラーにペイントし、ボディに入ったラインとも相性抜群だ。
右/購入当初はウェーバーの2連だったキャブレターを、現在ではアクセルワークの軽減化やアフターパーツの豊富さを考えOER製に換装。左/リア回りもMkⅠ仕様へとカスタムしている。マフラーはセンター出しでシンプルながらも存在感を放つ。
右/サーキット走行を目的としたシンプルなインパネ回りはかなり無骨な印象だ。メーター類はスミス製で統一され、こだわりが感じられる仕様となっている。左/H型のドグミッションを搭載。シフトレバーはいたってシンプルなものをチョイスしているあたりも、サーキット走行を意識している部分だ。
右/ライトやウインカー、ワイパーなど、通常はステアリング周辺にあるスイッチ類はすべてセンター部分へ移設。それゆえにステアリング部分はかなりシンプルに。左/車内にはロールケージが装備されレーシーな雰囲気もたっぷり。車体カラーとも合わせたカラーリングとなっており、統一感も抜群だ。
Owner:藤井裕也さん
これからもサーキット走行を楽しみたいですね!
愛車のミニを手に入れてから5年ほどになるという藤井さん。現在のミニに乗る前は、マツダサバンナRX-3もロールケージ仕様にして乗っていたりするなど生粋のサーキット好き。現在は主にMini JackやREV SPEEDの走行会に参加している。ミニの独特なお洒落な雰囲気も気に入っているといい、これからも楽しんでいきたいと話してくれた。