From MT女子の英国&ミニ探訪記 vol.10【英国ケント州】木村スズノさん

カルティエ展示場の美麗な旧車たち

「MT免許ペーパードライバー娘」の旧き佳き英国と新旧ミニを訪ねて の巻【10】

 今回も、前回に引き続きグッドウッドフェステバルで見つけたいろんな貴重なクルマについてご紹介したいと思います。これまでのグッドウッドレポートでは、売りに出されていた珍しいクルマや、レースに参加したマシン、EVなど最新の情報&クルマをみなさんと共有してきましたが、今回は特に「美しいクルマ」について注目してみました。

 広大な敷地の会場をふらふら適当に歩きながら辿り着いたのが、かのカルティエが主催していた「STYLE ET LUXE」。変な横道からこのブーススペースに入ってしまったので、最初はなんだかわからず、ただそこにあるクルマたちを見て「なにここ、素敵なクルマばっかり!」と興奮して写真をパシャパシャ。歩いて行くうち、今回ここに展示されているのは美しいクルマというタイトルで行なわれたコンテストに出されたクルマなのだと知って、納得しました。本当にどこを見ても、うっとりしてしまうような魅力的なクルマばかりです。この「美しいクルマ」コンテストは、どうやら1995年から毎年カルティエが開催しているようで、会場を訪れる多くの人に注目されているグッドウッドでも人気イベントのひとつみたいです。

 入ってすぐに目を惹いたのは、1967年製のフェラーリ330 GT。前から見ても横から見ても、後ろから見ても、本当にどこから見ても、ボディの絶妙な曲線からカラーまでとにかくと〜っても素敵! こんなクルマに乗っていたら、どんな人でも魅力的に見えてしまいそう。

 ほかにも、このコンテストに出されていたクルマたちは、なんとなくフェラーリが多い印象でした。1963年製のフェラーリ250 GT、シンプルに見えるけど凝ったデザインのボディがかっこいいんですよね。ボンネットの真ん中に青いラインが入った白い1964年製のフェラーリ500 スーパーファスト、こちらもなんだか洗練されている感じで、やはり美しいのひと言に尽きます。それから、最初に見つけたフェラーリ330 GTと同じくらい印象に残っているのが、1953年製のフェラーリモデル250。フロントグリルは風情ある印象だし、全体的なボディの形がどこかふくよかというかかわいらしい感じで。白と赤のカラーの配色なんかもさすがで、センスがいいなあと感じるクルマでした。

もちろんフェラーリだけじゃなくて、1930年代のオースチン7が数台並んでいて、ここだけみるとその時代にタイムスリップしたような気分になります。ふたり乗りの1927年製オースチン7のこのサイズ感、とっても愛くるしい! ドレスを着てこのクルマに乗ってドライブしたら、なんだか映画の主人公になったような気分になれそう。さらには、1960年代の真っ黄色の、我らがクラシックミニの親戚でもあるユニパワーGTや、真っ赤なデ・トマソ・ヴァレルンガなど。シンプルなのに個性のある、存在感の強いクルマで印象的でした。ここに展示されているクルマは本当にどれもかっこよくて美しいクルマばかりだったのですが、ここでのわたしのお気に入りはやっぱり最初に紹介したフェラーリ330 GT!ちょっと四角めのフロントと長めのボディ、ワインレッドのカラーからシンプルな内装まで全部が計算され尽くした美しさ、という感じで目が離せませんでした。

ユニパワーGT。1966年から70年にかけて、英国ユニパワー社がミニクーパーSのパワーユニットを使って製造していたスポーツカー。エンジンはリアにミッドシップで搭載されている。
デ・トマソ・ヴァレルンガ。イノチェンティでお馴染み(?)デ・トマソが1964年から’68年にかけて生産していたミッドシップスポーツカー。パワーユニットはケントユニットを搭載。同社初の市販車としても知られる。

 ひととおり見終わってコンテスト会場を後にし、またふらふらとアテもなく歩いていると、たくさんのクルマがずらっと並んでいる場所に辿りついたんです。最初、ここはなんのコーナーかな? と思いながら見ていましたが、実は一般来場者の駐車場だったんです!(笑)。普段はあまり見かけないような珍しくてかっこいいクルマばかり並んでいたので、最初は駐車場と気付かず、展示されているクルマなのかなと思っていました。ポルシェやベンツ、フェラーリなどの高級車をはじめ、ケーターハムスーパーセブンやモーガンなど、珍しい貴重なクルマがずらり。会場の中の展示だけではなくて、世界中からクルマ好きがやってくるこのフェスティバルでは、来場者のクルマが集まるだけで、ただの駐車場もフェスティバルの一部のようになってしまうのですね。普段は見かけないユニークなクルマが集結していたので、自然と人も集まっていて、駐車場のクルマを興味深い様子で見たり、写真をとったりする人の姿がたくさん。会場の中はもちろん、駐車場までたっぷり楽しむことができたイベントでした。

 クラシックミニが見つけられなかったのはちょっと残念でしたが、みなさんもきっと素敵だなあと感じるクルマが多かったのではないかなと思います。さて、これまで3回わたってグッドウッドフェステバルについてみなさんにシェアしてきましたが、いかがだったでしょうか? みなさんがわたしのレポートを通じて現地の空気感を少しでも一緒に味わってもらえていたら嬉しいなと思います。

 そして……実は先日、英国での6ヵ月の留学生活が終了しました。つい昨日着いたばかりという感じなのに、本当に時間が経つのはあっという間です。ということで、次回のレポートはこれまでの英国生活、クルマや人にまつわる思い出話などをお伝えしたいなあと思っているので、お楽しみに。今回もここまで読んでいただきありがとうございました。 ではまた。