From MT女子の英国&ミニ探訪記 vol.08【英国ケント州】木村スズノさん

いざグッドウッドへ、女ひとり旅(1)

「MT免許ペーパードライバー娘」の旧き佳き英国と新旧ミニを訪ねて の巻【8】

おおkおくお

 先日、世界的にも有名な英国の「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード」に行ってきました! グッドウッドフェスティバルは、世界各国からレーサーやレーシングカー、新旧の貴重なクルマが集結し、たくさんのモータースポーツ好きで賑わう英国のビッグイベントです。実はこのフェスティバル、「マーチ卿」こと第11代リッチモンド公爵フレデリック・ゴードン=レノックスというイングランドの貴族(企業ではない!)がその私有地にあるサーキットにて開催しているんです。個人が所有しているとは信じられないほど広大なサーキットに、幅広い種類の魅力的なクルマが集まったスケールの大きいイベントで、テレビ中継もされるほど。早めにチケット購入しないと売れ切れてしまいます(後述)。毎年6〜7月に開催されているのですが、今年は6月の23日から26日まで、4日間に渡って開催されました。わたしは今回、3日目の土曜日にウエスト・サセックス州まで行ってこのフェスティバルに参加しました。ということで、今回はそこでの様子をざっくりとみなさんにシェアしたいと思います。

 フェスティバルの開催場所であるグッドウッド・サーキット(繰り返しになりますが、リッチモンド公爵の邸宅「グッドウッドハウス」のなかにあるんです!!)は、ロンドンからクルマで1時間半ほど。最寄駅はチチェスターで、イベントの開催期間中はここから有料シャトルバスも出ています。会場に近づくにつれて、珍しいクルマや高級車が多くなってきて、やっぱりグッドウッドにはいろんなクルマ好きがあちこちから集まって来ているんだな〜と実感しました。実はちょうどこの日、英国全土で賃上げを求めた労働者たちによる大規模な鉄道ストライキがあって、一日中すべての鉄道が動かないという事態に。その分、普段よりクルマで訪れようとする来場者が増えて、駐車場近くではかなり混雑していました。ストライキは事前に予告されていたとはいえ、英国全土、すべての鉄道が動かなくなるなんて日本ではあまり考えられないですよね……。

 さて、そんなプチハプニングがありましたが、なんとか会場にたどり着き、入口を抜けると早速、たくさんの珍しいクルマが並んでいました。グッドウッドフェスティバルで初披露のクルマ(ちなみに今年の特集テーマは50周年を迎えたBMW M)や、デザインアワードとして選び抜かれた新旧のクルマたちの展示会、EVコーナー、そして中古車販売部門で売りに出されている貴重なクルマまで……。カテゴリー別にいろいろな魅力的なクルマがたくさん。みなさんとシェアしたいことがたくさんあるので、このあたりについては次回以降も詳しくレポートにしたいと思っています、お楽しみに!

 会場内は、家族連れからクルマ好きの仲間同士、カップルなど老若男女問わずたくさんの人たちで賑わっていました。子供たちも一緒に楽しめるように、キッズ用バイクが乗れるコーナーがあったり、VRのアトラクションのような乗り物で、英国人F1ドライバーのルイス・ハミルトンの運転が疑似体験できるようなコーナーなど、体験型のアクティビティも充実していて、本当に幅広い人たちが楽しめるフェスティバルでした。

 ただ、やっぱり全体的に見ると男性の来場者が多いかな、という印象です。今回わたしはひとりでこのフェスティバルに参加したのですが、ほかに女性ひとりで来ている人はあまり見かけませんでした。それでもわたしは、おそらくこのフェスティバルに足を運んでいる多くの人に比べるとモータースポーツやクルマにそれほど詳しい訳でも、大ファンなわけでもありませんが、そんな知識が特にないわたしでも純粋にひとりで1日楽しむことができました。グッドウッドは子供から大人、性別に関係なくみんなが夢中になれる魅力的なフェスティバルだと思います。

 そして特に、このグッドウッドフェスティバルで来場者が楽しみにしているのが、新旧のマシンがヒルクライムする様子をすぐ近くで見られるということ! 今回のグッドウッドには、元F1チャンピオンで日本でも人気のあるナイジェル・マンセルも参加していて、30年前のチャンピオンマシン「ウィリアムズFW14B」をデモランしたことでも話題になっていました。このフェスティバルには現役から往年のレーサーたちが集結するというのも見どころで、会場に集まる人たちは終始興奮気味。最初はその様子を背の高い外国人の男性たちの隙間から見ていましたが、わたしも近くで見たくて、前の人たちが移動するまで長いこと粘って、一番前の見やすい場所まで行って見ることができました。実はチケットを予約する際、スタンド席付きのチケットを買えば座って見やすい位置から観戦することができるのですが、半年近く前から予約したにもかかわらずグランドスタンド席付きのチケットは売り切れで、立ち見することになったんです。ちなみにわたしが購入した一番スタンダードなチケットの価格は、21歳以下の割引価格で60ポンド、日本円にして約1万円弱でした。割引があったおかげで一般チケットよりは5千円ほどお得になっていました。平日券だともう少し安くなっていたり、4日間全日程参加できる豪華チケットもあります。

 さて、今回訪れたのが土曜日だったこともあって、コースのすぐ近くは混雑していましたが、座って見るスタンド席よりも間近で見ることができたので、迫力満点で楽しかった。音というか空気の振動が新鮮で。そして楽しいのはマシンだけではありません。見ず知らずの多くの方から、ひとりで来ているわたしを見て親切に話しかけてくれたり、周りではここで初めてあった人たちが自然と談笑しあいながら時間を過ごしていて、とってもいい雰囲気でした。ドリンクを片手に楽しむ人や、カメラを構えて真剣な様子の人まで。いろんな人がいましたが、普段聞けないレーシングカーの大きなエンジン音が会場に響き渡るたびに、「おー!」と歓声が上がって、わたしも自然と興奮してしまうくらい観衆はパフォーマンスに夢中になっていました。マクラーレンやフェラーリ、ポルシェなどの名車が目の前を一瞬で駆け抜けていくのはもちろん、目の前で白煙とともにドリフトしながら連続でくるくると回ったり(ドーナツターンというらしい)、バイクを器用に乗りこなして前輪や後輪だけで走るライダーなど、多様なパフォーマンスにずっと釘付けで、一日中ずっと見ていれそうなほどでした!

 ヒルクライムで走ったマシンたちは、会場内のパドックに戻ってきて展示されるので、ゆっくり近くで見ることもできます。いろんなユニークなマシンが勢ぞろいで、わたしを含め来場者はみんな興味津々。イギリス生まれのアストンマーチン、ロータスやジャガー、ほかにも本当にたくさんの名車があって、それぞれ形や色もとっても個性的で見ているだけで面白かったです。

 もっともっと話したいことがたくさんありますが、長くなってしまうので今回はこのあたりで失礼します。また次回、フェスティバルで見つけたミニの話など、もう少し細かいフェスティバルでの様子を続編として出すつもりなので、お楽しみに!