【CUSTOM STYLE from UK】 英国流カスタムミニ〜津川哲夫セレクション「ぶっ飛びミニ編」

MkⅠ〜 MkⅢ仕様やボーイズレーサーなど、とかく定番になりがちな日本のミニのモディファイ。ミニのふるさと英国では、彼の国にとっては「国産車」ということもあってか自由自在、融通無碍なカスタムを施したミニが多い。そこで2019年8月に英国ブリストルで行なわれた「IMM(インターナショナルミニミーティング)」の参加車輌のなかから、英国在住のF1ジャーナリスト、津川哲夫氏がセレクトしたぶっ飛びカスタムのミニをご紹介しよう。

ストリートキッズもびっくり
ブレークダンスを踊るミニ

ファミリー感あふれるミニエンスーの数は多いが、やはりミニフリーク達もあふれていた。ミニフリークともなれば人を驚かすことに喜びを見い出すのが真の姿。このミニは前後左右のサスペンションに特大の油圧ジャッキが取り付けられている。それも4隅すべてが独立して稼働可能だ。さらにこのジャッキがどの位置に設定されていようとも、ちゃんと走るのだから恐ろしい。実はこのオーナー、ハイドラリック(油圧)システムのエキスパート。愛嬌のある4Lサイズの巨人型で徹底したミニエンスー。そもそもミニのサスペンションはハイドロなのだから……、といって作ったわけでもなさそうだが、そのミニのハイドロサスペンションをエクレストリームに変身させたのが、このハイドロジャッキミニなのだ。

ジャッキングユニット
ブーツ内とリアウイドーの下に収められた巨大なジャッキングユニット。巨大なシリンダーはブーツ内に強力なリターンスプリングを備え、素早い動きを作り出している。

実際、このシステムの出来はプロフェッショナルで、仕上がりは抜群。まるで建設機械のミニチュア版のようだ。また、前後左右のジャッキングの動きはまるでミニの形をした恐竜か、いや、怪獣のごとくか。しかし、本体はミニというかわいらしさがあるので、これはモンスターといえどもポケモン的かもしれない。このハイドロミニのエンスー度は徹底していて、室内もウィットに飛んだ面白インテリアだ。極めつけは油圧のコントローラー。6個のコントロールスイッチが何とミニの模型のなかに埋め込まれている。人を驚かせ、人を喜ばせることを狙ったミニフリークオーナーの、正にエンターテイメントに徹したエンタメ型ミニ愛。あまりの発想の奇抜さに恐れ入る。これこそミニフリークの奥深さを感じざるを得ない。

ハイドロミニ 最下降状態
4輪ともに最下降させるとこのとおり。お尻を引き摺る寸前までに低くなるが、もちろん走行に問題はない。この状態からいきなりの背伸びをするとは実にユニークだ。
ハイドロミニ エンジン
エンジンは軽めのチューンが施されているが派手さはなく、すべての努力はハイドラリックユニットの稼働に向けられている。エンジンはアクチュエーターの動力源としての役割が主な仕事だ。
ハイドロミニ インパネ
インテリアはさすがに「ミニ族ファナティック科」たるものだが、人工ファの内装と、チェーンステアリング以外は結構普通だ。ただし、室内にとぐろを捲くコントロールケーブルはちょっと異様。