【Heritage Museum 】’71 AUSTIN MINI 1275GT

’71年式 オースチンミニ 1275GT

サーキット&街乗りの両立を目指し、自己満足の集大成的な一台へと進化

個性的なルックスによりマニアを中心に熱い支持を得ている1275GT。今回のオーナーはそんなモデルをベースに、オーナー自身が憧れたロングマン仕様へとカスタムしている。細部までこだわった一台はとにかく見所たっぷりだった。


フロントフェイスがスクエアな雰囲気の1275GT。一方、リアはラウンドタイプのままで当時はバランスの悪さも指摘されることもあったが、いま見ると違和感はまったくない。。

8年かけて理想形を追求

 フロントマスクを一新したスクエアなフェイスで’69年に登場した「クラブマン」。1275GTは個性的なルックスやその高性能さも相まって、いまではマニアに人気のモデルとなっている。 今回のオーナーの戸田さんが強烈に惹かれていたという、リチャードロングマンのレース仕様へと手を加えていったのがここで紹介する1275GTだ。

 お世話になっているショップ「スミスサービス」のメカニックからベース車輌を譲り受けた後、ボディの剥離をはじめ、できる限りのことは自身で手を入れながら、ショップとともに8年かけてレストアしてきた。そんななか、一番困難を極めたのは当時のレースカーで使われていたCパーツなどを入手することだった。とりわけ’80年代のクラブマンカップのオフィシャルホイールであるGKNを探し出すことに苦労したという。現在履いている12インチのモデルは、おそらく日本ではこの車輌だけだろう。キャブレターやサイドミラー、運転席のフロントデカールやバケットシートなど、ロングマン仕様へのこだわりを挙げればとにかくキリがないほど。

 この車輌に乗る以前は、’96年式の35周年アニバーサリーモデルに乗っていた戸田さん。それはバリバリのレースカーへとカスタムされていたものだった。そんなこともあって、今回はサーキットと街乗りの両立をテーマに掲げていたというが、ロングマン仕様への細かなこだわりを含め今回は「自己満足の集大成ともいえますね」と語ってくれた。

History

ミニに現代的な雰囲気をプラスして新たなユーザーを獲得するために考案され’69年に登場したクラブマンだったが、結局はMkⅢもそのまま残ることとなり、それほど多くの支持を得ることはできなかった。以後’80年までリリースされていたクラブマンだが、その間に280万台以上が生産されたミニのうち、このシリーズは累計60万台の生産にとどまった。だが、それがある種の希少性にもつながり、いまではマニアに人気の高いモデルとなっている。

Owner :戸田豊さん

神戸のニューイヤー・ミニ・ミーティングを立ち上げ、10年間もの間主催側として関わった人物として広く知られる戸田さん。現在は若手に引き継いでいるが、2023年10月にはクラブマンオンリーのツーリングを企画するなど、精力的にミニライフを楽しんでいる。