From MT女子の英国&ミニ探訪記 vol.03【英国ケント州】木村スズノさん

ヘリテイジ・モーター・センターで発見、ミニ生産1号車!

「MT免許ペーパードライバー娘」の旧き佳き英国と新旧ミニを訪ねて の巻【3】

 先日、英国のオフシャル的な自動車博物館、ヘリテイジ・モーター・センター(British Motor Museum)へ行ってきました。編集部でもミニ60周年の際に取材&誌面掲載していると聞きましたが、わたしなりの目線で今回はみなさんに博物館の様子をシェアしたいと思います。

 博物館はロンドンからクルマで2時間弱のゲイドンという田舎町にあります。こういうときのために、と思って国際免許を取得していたので、レンタカーを借りて行こうと思っていたのですが、なんと英国ではレンタカーを借りられるのは21歳からとのこと。早生まれのわたしはこの時まだギリギリ誕生日を迎えていなかったので、結局借りられず……。また、英国では25歳(レンタカー会社によっては30歳)以下の場合、ヤングドライバーとしてかなりの額の追加料金が発生します。今後のことを考えて調べたところ(大手レンタカー会社の場合)、21歳だと1日あたり約6000円(!)の追加料金を支払う必要があるとのこと。高すぎてびっくりです。というわけで、値段云々以前にそもそもレンタカーが借りられなかったので電車とバスを乗り継いで行くことに。幸いにも博物館のすぐ前で降ろしてくれるバスがバンブリーという市内から出ていました。このバスに乗れば博物館まで約40分です。バスの窓からずっと続く草原とそこで放し飼いにされている羊や牛が見えて、この日は天気も良かったので、とてものどかな田園風景を楽しみながら向かいました。

 カンタベリーからロンドンを経由し、長い道のり(片道4時間近く!)を経て博物館についたとき、思わず外から見た博物館の大きさに驚きました。でも、実際に館内に入るとそこまで広いわけではなく、意外とコンパクトに展示されています。そういえば、博物館の回りには広い駐車場がありましたが、土曜日にもかかわらず混雑はなく、ゆとりがありました。郊外にあるこの博物館まで足を運ぶクルマ好きの人たちは、一体どんなクルマに乗っているのだろう? と駐車場をぐるっと見渡しながら歩いていると、1台だけニューミニを見つけました。白のボディに赤色のルーフとサイドミラーが可愛らしいですね! そのほかにも、英国車らしい気品を感じるトライアンフのクラシックカーやランドローバー・ディフェンダーなど素敵なクルマが並んでいて、博物館に入る前から期待が膨らみます。

 さて、前置きが長くなりましたが、さっそく博物館に入るとチケットカウンターにいたお姉さんが「ウェルカム!」とニコニコ笑顔で歓迎してくれました。チケットは事前予約制で、予約番号を見せるだけですぐに入場できます。ちなみに料金は12.5ポンド(約2,000円)でした。この時期、外国から来る人が珍しかったからか、「ニッポンから来たの? すごく嬉しい、きっとあなたのお気に入りのクルマも見つかるよ。楽しんで!」と声をかけてくれました。

 そして案内されたとおりに進むと、1959年製のライセンスナンバー「621AOK」、正真正銘、一番最初に登場したミニ、モーリスミニマイナーのライン生産第1号車がお出迎え。これがミニかあ……、しばし見入ってしまいました。貴重な初代ミニを実際に見ることができて、とっても感動。これだけでも、はるばるここまで訪れた甲斐があったと思います。初代ミニは、当然ながらとりわけシンプルかつ洗練されたデザインで、可愛らしさのなかに凛とした雰囲気を感じさせる、本当に魅力的なクルマでした。

 博物館のなかは、壁沿いに時系列に沿って英国車が並び、内側にはスポーツカー、ランドローバー、ジャガー、コンセプト&デザインなどテーマごとに円形にクルマが並べられて展示されています。ジャガーのコーナーにはレーシングカーも並んでおり、来場者の多くは一生懸命カメラを構えて撮影したり、隅々までじっくり観察しています。同時に、そこに居合わせた知らない者同士で何やら意気投合している様子も見受けられます。なんかとても楽しそうです。来場者は総じて単身の男性が多い印象ですが、小さな子供がいる家族連れも多く、程よく賑やかな雰囲気です。

 そして本日のお目当て、「ミニクーパー」の人気に火をつけたラリー・モンテカルロで総合優勝したミニ3台を発見。「これがあのミニか……!」とじっくり観察しちゃいました。ゼッケン37のモンテ初優勝ミニ「33EJB」を見て「オレが生まれた年にモンテカルロラリーで優勝したんだよ!」という父の自慢? を思い出しました。ラリーで走るミニの当時の映像も流れていて、思わず見入ってしまいます。しばらくその場に居座っていると、近くで一緒に映像を見ていたいかにも英国紳士! という感じのおじさまが、「ミニは、見た目は可愛いけど、速くて強い特別なクルマなんだ。だからみんなミニが大好きで、このクルマを誇りに思っているんだよ」と嬉しそうに話してくれました。おじさまの話し方からは深みのある「ミニ愛(文字通りのLOVE❤︎MINI)」が伝わってきて、わたしもなんだか嬉しくなりました。

 ヘリテイジ・モーター・センターは、クルマを通じて歴史を振り返ることができるように展示されています。ブースごとにストーリーがあるのでクルマ好きの人はもちろん、あまりクルマに詳しくない人でも時間を忘れて楽しむことができる場所だなあ、と感心しきり。博物館自体は外観から想像するほど大きいわけではありませんが、館内にはカフェもあるので、くつろぎながらじっくり見ることができます。半日くらいはあっという間に時間が過ぎてしまいそうなくらい、充実していました。読者のみなさんには、英国に来たらぜひとも一度訪れてほしいスポットです。

 長くなってしまいそうなので、今回はこのあたりで失礼します。次回は、今回紹介しきれなかった土産物屋さんで見つけたミニグッズなどについて、みなさんとシェアしたいと思っています。ではまた。