From MT女子の英国&ミニ探訪記 vol.01【英国ケント州】木村スズノさん

英国の小さな街カンタベリーとワタシ、そしてミニ

「MT免許ペーパードライバー娘」の古き良き英国と新旧ミニを訪ねて の巻【1】

 みなさんはじめまして、木村スズノと申します。2月より単身渡英し、しばらく滞在することになりました。縁あって英国の日常風景や様々な自動車シーン、そしてできる限り(?)我らがクラシックミニについてのトピックスを現地からお伝えしたいと思います。特段クルマに詳しいわけではありませんが、どうぞお付き合いください。よろしくお願いします。

 コロナがわたしたちの生活を変えて早3年。まだ以前のように自由にとはいきませんが、各国への渡航規制もだんだんと緩和されてきました。特に英国は、かなりの感染者が出ていたにも関わらず、ワクチン接種者であれば入国前のPCR検査や入国後の隔離が一切ないというオープンな措置なのです。かねてから計画していたのですが、ちょうど規制が緩くなったこの時期に入国することができ、無事に英国での留学生活がスタートできました。そこでこのレポートの第1回は、手始めにわたしの留学先である英国の旧き佳き街カンタベリーと、この地に馴染むミニのある風景をシェアしようと思います。

 羽田空港から出発し、空の上を飛ぶこと約12時間。英国の首都ロンドンにあるヒースロー空港に降りたとき、飛行機の窓から期待どおりのどんよりとした曇り空が見えて、本当に英国に着いちゃった! と胸が踊りました。普通だったら天気がどんよりしていると心も沈んでしまうような気がしますが、冴えない空模様がいかにも英国という感じがして、長旅の疲れを感じながらも実感が湧いて嬉しくなっちゃいました。大きなスーツケース2つと重たいリュックを抱えてヨロヨロしながら入国ゲートをくぐると、目の前には名前のボードを持った出迎えの人たちがゲートを取り囲んでいました。いろいろな人種の人たち、あちこちで聞こえる様々な言語、独特な空港のにおい、すれ違う人たちの個性的な香水の匂いなど……、早速たくさんの刺激を受けて少しだけ緊張しましたが、それと同時に普段とは違う感覚にワクワクしました。

 わたしも空港から滞在先への移動は、出迎えのドライバーさんをあらかじめ予約していたので、自分の名前が書かれたボードを持っている人を探します。あれ? あれ? ない、ない、な〜い! 約束の場所にそれらしき人は見当たりません。それでも、もうここは日本じゃなくて海外なのだから、計画どおりにいかないのが当たり前だという気持ちでいたので、焦らずに待つことに。それにしても、なかなか来ないので緊急連絡先に電話してドライバーさんと連絡を取ることに。結局、ドライバーさんが来たのは約束から1時間以上も過ぎてからでした。待ち合わせ場所の前で大荷物を抱えて待ちくたびれたわたしを見て、目を大きくしながら近づいて「ハーイ」と声をかけてきた若い女性が出迎えのドライバーさんでした。遅れたのは、渋滞にハマってしまったのが原因だそう。空港に着いたのは15時過ぎでしたが、迎えのドライバーさんのクルマに乗る頃には外はもうすっかり薄暗くなっていました。

 目的地であるカンタベリーは、英国の南東部、ケント州に位置する歴史ある小さな街で、ロンドンからはクルマで2時間ほど。件の可愛らしいドライバーさんが運転するのはやっぱりマニュアル車で、シフトチェンジのスムーズさに私は釘付けでした。「わたしもせっかく頑張ってMT免許を取ったのだから、このお姉さんみたいにカッコよく運転したい……!」と思いましたが、まだまだ遠い道です(たぶん)。ドライバーのお姉さんは、曇り空から雨に変わったあいにくの天気のなか、猛スピードで高速道路を走っていきます。暗さと雨のしぶきで前が見づらいのもお構いなし、どんどん爆速で駆け抜けていくので、慣れないわたしは少しヒヤヒヤしましたが、無事にホームステイ先のお家まで送ってくれました。

 こうして長かった初日が終わると、次の日にはさっそくカンタベリーの中心街へと向かうことにしました。ホストファミリーの家は閑静な住宅街にありますが、カンタベリーはとてもこじんまりした街なので、15分ほど歩いただけでいかにも英国らしいおしゃれなショップが立ち並ぶメインストリートに到着です。

 早朝だからでしょうか、石畳みの続く旧き佳き街並みのせいでしょうか、昨日の慌ただしさとは一転、この街とこの地に住む人々にはとても穏やかでゆっくりとした時が流れているように感じます。住宅街を抜けて穏やかな気持ちで中心街へ向かっていくと、そのわずか15分の間に何度もミニを見かけてとても嬉しくなりました。さすがミニ発祥の国、少し歩くたびにあちこちに現れます。可愛らしい赤いミニがこの素敵な田舎町の一角にひっそりいるのを見かけたり、カスタムされたピカピカのミニがレンガ造りの家の横を通るたびに、まさにイギリスらしい風景だなと気分が上がります。残念ながらお目当てのクラシックミニにはなかなか出会えませんでしたが、それでもミニという存在は歴史あるこの街にとても良く馴染んでいて、どの瞬間も本当に絵になるのです。ある時、街の角に素敵なミニが停まっていたので思わず立ち止まって見ていると、近くにあったおしゃれで小さなパン屋さんから、長いフランスパンを片手に出て来た女性がそのミニに乗り込んでいきました。何気ない日常の自然な様子ですが、街とヒトとクルマの雰囲気が絶妙にマッチしていて、なんだか映画のワンシーンのようでした。

 まだカンタベリーには来たばかりですが、ここはひと昔前の世界にタイムスリップしたかのような気分になれる、本当に素敵なところです。早くもこの街が、そしてこの地に馴染むミニのある風景が大好きになりました。まだまだ時間はたくさんあるので、これからミニ探しのために、散歩に出るのが楽しみの1つになりそうです。まだ見つけられていない、どんな魅力的なミニと素敵な風景が待っているでしょうか。ここでミニと暮らす現地の人々の、どんな場面に出会えるでしょうか。滞在初日から、期待は膨らむばかりです。

 上の写真は昨年の夏ごろに日本で撮影したもの。コロナの5波が拡大していた時期ですが、前々から考えていたイギリス行きを決意したときでもあります。その後どうなるか心配でしたが、今年の2月下旬に無事渡英できて、本当に良かったなと思っています。

初回はこのあたりで失礼します。

ではまた。